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山田美帆(やまだみほ) ■取材・ロケ・コーディネーター ・中央アジア/シルクロード カザフスタン キルギス ウズベキスタン(カラカ ルパクスタン) タジキスタン トルクメニスタン ・ロシア・コーカサスなど 旧ソ連 ・イラン ■映像翻訳(ロシア語/カザフ語など) ■添乗・ツアーコーディネート メールはこちらへ yksilkroad@yahoo.co.jp *写真・記事ともに無断転載禁止。ご使用に際しては、メールにてご相談ください。 ++++++++++++++ ブログパーツ
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2007年 11月 30日
昨日、カザフスタンより帰国しました。
9月に私が中央アジアロケに出かけている間に空っぽになっていたアパート1階の部屋に、いつの間にか新しい住人が引っ越してきていました。 この部屋に住み始めて3年半ほどが経ちますが、階下の住人とは顔を合わせたことすらありません。新しい階下の住人とも、きっと言葉を交わすこともないでしょう。 日本にいると、他人とのコミュニケーションの必要性も感じられないのが不思議です。 一方、中央アジアでは他人とのコミュニケーションはどんな状況でも不可欠なの。 知らない人から突然話し掛けられることもしょっちゅう、そしてどこからともなく人に話し掛けている自分がいます。話のきっかけはあいさつや今日の天気だったり、インフレのことだったり・・・ほんの些細なもの。知らない人だから・・・という遠慮は全く存在しません。現地で生活するうちに自然としみついた習慣です。 そんな数え切れぬ一期一会のコミュニケーションが人間関係や気持を円滑にしています。 干上がったアラル海の湖面を吹きあれる風が砂を運び、吹きだまった砂に埋もれそうな約 20世帯の小さな村。アラル海の水が干上がる前は漁師村だったというその村で、今でも漁師をする一家を訪れたときのこと。 「今、幸せですか?」 お父さんにそう問い掛けると、 「幸せです。私には家族がいて、家族を養うために仕事をしている。今年は家を新築した。子供も育っている。それ以上の幸せがあるでしょうか?」 こんな答えが返ってきました。 村には水道も通っておらず、家の裏にある砂丘に掘った井戸から水を運びます。 ガスコンロもなく、薪で火をたいて調理をし、家を温めます。 トイレは外の掘っ立て小屋。 お風呂やシャワーはなく、週に1度洗面器で髪を洗うか、隣人のサウナを時々使わせてもらう程度。 家具もほとんどなく、居間に置かれているのは中国製のテレビとDVDプレイヤーと机だけ。 娯楽と言えば、海賊版のDVD鑑賞や衛星放送、一家団欒や人との付き合いくらい。 村にはアスファルトの道路はなく、外は一面家畜の糞だらけの砂地。 持ち回りで交代で村中の家畜を放牧し、必要なときには漁に出て家族を養います。 一人息子は父親と同じ漁師になり、学校から帰宅した娘は当たり前のように家事や放牧の手伝いをし、近所に住む親戚の子供達が我がもの顔で家に出入りする・・・ ←サモワールでお茶を沸かす 日本でたくさんの情報や物に囲まれて生活をしていると、本当に大切なものを見失ってしまうことすらあるのかもしれません。たとえ物やお金に不自由しないで家族がいても、自分を幸せだと感じられない人は少なくないかもしれません。 日本人の私たちには不便と感じられる環境の中でも、自分の役割や居場所をきちんと持ってシンプルに力強く生きる人たちに触れると、 「幸せですか? 自分の居場所はどこ? 大切な人は誰?」 自分自身にも思わずそう問い掛けたくなります。 「おねえちゃ~ん、私も一緒に連れて行ってよ!」 出会って間もない余所者の私の後を追い、寒空の下、上着も着ないで駆けて来た5歳の少女の手を引いて砂丘を歩きながら、 「幸せになるって、そんなに難しいことではないのかもしれない」 ・・・素直にそう感じていた自分がいました。
by yksilkroad
| 2007-11-30 05:21
| 中央アジア
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