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山田美帆(やまだみほ) ■取材・ロケ・コーディネーター ・中央アジア/シルクロード カザフスタン キルギス ウズベキスタン(カラカ ルパクスタン) タジキスタン トルクメニスタン ・ロシア・コーカサスなど 旧ソ連 ・イラン ■映像翻訳(ロシア語/カザフ語など) ■添乗・ツアーコーディネート メールはこちらへ yksilkroad@yahoo.co.jp *写真・記事ともに無断転載禁止。ご使用に際しては、メールにてご相談ください。 ++++++++++++++ ブログパーツ
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2006年 01月 15日
知人からの依頼で久々にカザフ語の記事を日本語に訳すという作業をしていたのですが、日頃から自分がいかに純粋なカザフ語を使っていないかを改めて反省させられる結果となりました。カザフ語で話をする時、カザフ語の単語が出てこないと無意識についその部分をロシア語で代用してしまっているのです。これはカザフ語・ロシア語バイリンガルの現地人にはよくあることですが、私も知らず知らずのうちにそうなってしまっていたようです。ひとむかし前、カザフ語を1から勉強していた頃には「その気になれば1からでもすぐに言語の習得はできる。要は本人のやる気と必要性の問題なのだ。」と心していた私だったのに、いつのまにか「言語はコミュニケーションの手段であり、通じさえすれば文句なし」と勝手に開き直ってしまっていたようで反省しました。もっとも、日本語の中で外来語やカタカナ言葉を多用することとそれほど変わりはないのかもしれませんが・・・
手元に統計資料がないのではっきりしたデータは出せませんが、カザフスタンでは国語であるカザフ語の普及がなかなか進んでいないのが現状です。 学校などの教育機関においてはカザフ語・ロシア語の両コースが開設されていますが、カザフ人であってもロシア語コースに通い、「カザフ語は苦手・話せない・理解できない・話したくない」というカザフ人も特に都市部では少なくありません。町なかで若者にカザフ語で話し掛けたら、ロシア語で答えが返ってくるというのもよくあること。 カザフ語・ロシア語の放送を両立させるため、テレビ局にはカザフ語放送枠の1日あたりのノルマがあります。ニュースはカザフ語とロシア語の両方で放送されるので問題ないのですが、新しくカザフ語の番組を制作したところで視聴率も期待できず、ノルマを消化するため多くの民放局では深夜にひたすらカザフ語の音楽ビデオを流し続けます。これは国が意図するカザフ語の普及には悲しいかな全く効果なく、カザフ語を母語とする老人の娯楽にしかなっていないようです。それでも、カザフ語で日本のアニメや人気の海外ドラマや映画が吹替られるようになってきたり、音楽専門チャンネルでもカザフ語の若者音楽も流れるようになってきていますから、(今まではロシア語の方が格好いいと思っていたのであろう)カザフ人のメンタリティや趣向も徐々に変わりつつあると言えるのでしょう。 ちなみにロシア語は異民族間のコミュニケーションの手段として、国語と同等の公用語としての立場を与えられています。 チュルク語系やペルシャ語系の独自の民族語を持つ中央アジアの国々ですが、ソ連時代は民族語の表記にキリル文字(ロシア語の文字)を使っていました。(キリル文字導入以前はアラビア文字表記→ラテン文字が使われていた)ソ連解体後は徐々にキリル文字離れの動きもあって、トルクメニスタンとウズベキスタンでは現在ラテン文字表記になっています。 カザフ語は依然としてキリル文字を使っているので、そのまま強引にロシア語読みをすれば通じないこともありませんが、カザフ語の発音にはロシア語にはない発音がたくさんありますから、話しているのを聞けば全く違う言語だということが実感できることでしょう。 ↓例えば、これがキリル文字表記のカザフ語 「どうしてカザフスタンへ行ったの? しかも何故にカザフ語を勉強したの?」 これは私がよく聞かれる質問です。 大学の卒論でカザフスタンについて少し触れてからというもの、実際に現地を見ずには満足できず、「とりあえずは1年くらい現地で暮らして、卒論で書いたことを自分の肌で感じてみよう」と思い立ったのがカザフスタンへ行った理由。現地に滞在する名目としてアルマティにある大学に籍を置き、一般に広く使われているロシア語ではなく敢えてカザフ語を始めたのは、「ロシア語を流暢に使うカザフ人だが、本心は内輪でしか通じないカザフ語で語ることが多いのでは?」と単に思ったから。 カザフスタンで生活するにあたっては、ロシア語が話せれば全く不自由はありません。逆にカザフ語しか話せない人の方が不便さを感じることの方が多いでしょう。そんなわけで、私があのときロシア語を選択していたとしたら、カザフ語を話してみたい・勉強しようとは全く思わなかったに違いありません。ただ、ひょんな思い付きからカザフ語を選択したお陰で、ロシア語もそれなりに不自由なく使えるようになりました。というのも、当時はカザフ語の教科書も辞書もロシア語で書かれたものしか存在しなかったのです! カザフ語の教科書の解説を露和辞典と首っ引きで解読し、カザフ語の単語をひとつ覚えるたびにその単語をロシア語でも覚え、そして外では覚えたてのカザフ語とロシア語の両方を実践的に使ってみながらの生活でした。 ↓主にカザフ語を話す村の若夫婦 「タジク語が分かれば、もっと込み入った話も聞いてあげられるのに・・・」 タジキスタンでの取材中、タジク語を母語としロシア語があまり得意でない人に話を聞いていてよく思ったことです。 そういう人に限ってロシア語で話す時には緊張して構えてしまい、通り一遍のことしか話さないタイプだったりするので、彼らの母語でコミュニケーションが出来ればもっと違うのだろうな・・・と残念な気持ちになったものです。また、そういうときには基本的に話の本筋も通じてはいるのでしょうが、肝心のニュアンスは伝わっていないのではないだろうか?・・・と不安になったりもします。 外国語では自分の言いたいことをなかなか伝えきれない・・・そんな心当たりはきっと誰にでもあるはず。どんなときにでも相手の母語やバックグラウンドに敬意を払える人間でありたいものです。 仕事ではロシア語を使わせていただく機会の方が今となっては多くなったとはいえ、カザフ語の方が優勢なカザフスタンの田舎などではいろんな意味でカザフ語には助けられています。それにウズベキスタンなどチュルク語系の言葉を使う国へ行ったときでも、強引にカザフ語を話しさえすればだいたいの意思の疎通は可能です。 チュルク語系の言葉がどれかひとつでも話せれば、東は新疆ウイグルから西はトルコまで、旅行するには不自由しませんよ!
by yksilkroad
| 2006-01-15 04:58
| 中央アジア
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Comments(4)
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orientlibrary at 2006-01-15 22:36
英語ひとつでも大変な私にとっては、耳の痛い?お話です。カザフ語を勉強しながらロシア語も、って気が遠くなりそうです。以前、ウズベク語をほんの少し習いました(すべて忘れました)が、これをこんなふうに言うのか、とかその奥にある考え方も知ることができて発見がありました。中央アジア、やはり何か言葉を覚えた方がいいかなあ・・ アフファベットの苦労がないだけアラビア語よりいいかもしれませんし・・
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yksilkroad at 2006-01-15 23:00
ウズベク語を少し勉強されていたんですか! 日本では珍しいですね。英語などと違い、文法(語順)が日本語と全く同じなので、比較的話しやすい外国語だと思います。それに、ウズベク語は今はラテン文字表記ですから、キリル文字を覚える必要もないですものね。ちなみに私は英語は全く自身ありません。18日から仕事でイスラエルに行くのですが、果たして自分の英語が通じるのかどうか、かなり怪しいものです・・・
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カザフ人の感想
at 2010-07-30 13:38
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カザフ人は外国語習得がかなり上手なのです。母国語であるカザフ語習得にかなり苦労しています。
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yksilkroad at 2010-07-30 16:27
でも、最近はカザフ語が徐々に定着しつつあるような雰囲気を感じます。カザフ語の音楽などもかなり増えてきましたし、以前に比べると町でカザフ語を耳にする機会が断然増えてきていますよ。
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