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山田美帆(やまだみほ) ■取材・ロケ・コーディネーター ・中央アジア/シルクロード カザフスタン キルギス ウズベキスタン(カラカ ルパクスタン) タジキスタン トルクメニスタン ・ロシア・コーカサスなど 旧ソ連 ・イラン ■映像翻訳(ロシア語/カザフ語など) ■添乗・ツアーコーディネート メールはこちらへ yksilkroad@yahoo.co.jp *写真・記事ともに無断転載禁止。ご使用に際しては、メールにてご相談ください。 ++++++++++++++ ブログパーツ
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2009年 05月 29日
先日は仕事でドレスコードがあり、黒のパンツスーツを着用しなければならなかった・・・という話をしていて思い出したこと。
黒のドレスコードといえば・・・真っ先に私の頭に思い浮かぶのは、イスラームの女性が着用するチャドル。 イスラーム革命以降のイランといえば、「黒のチャドルを纏った女性たちが街を闊歩する」というイメージを持っていました。 実際に現地へ行ってみると、それがステレオタイプであったことが分かりましたが。 現在のイラン・イスラーム共和国では、女性にはヘジャーブの着用が義務付けられています。 ヘジャーブを着用していない(これは現地人にはありえないことですが)、またはヘジャーブが不適切とみなされた場合には、警察などに補導されるケースもあります。 「ヘジャーブ」とは、覆う、保護するという意味のアラビア語を起源とするのだとか。一般的には女性の頭と体を覆うベールを意味しますが、そこから派生して女性の貞淑・道徳といった意味にもなったりします。 「女性が頭と身体を覆うイスラーム式のドレスコード」と解釈したらよいのかもしれませんね。 ただしヘジャーブといっても、必ずしもチャドルを着用しなければならないわけではありません。 チャドルを纏った女性も少なくありませんが、頭にスカーフやストールを巻いたり、マグナエと呼ばれる頭巾のようなものを被り、腕やお尻を隠す長丈のコート(「マントー」と呼ばれる)やチェニックを着用している女性たちが圧倒的に多いような気がします。 イランといえば「黒のチャドル」というイメージが先行している感がありますが、ヘジャブの色も決して黒に限定されるわけではありません。 観光で聖廟等に入る場合にはチャドルを借りて着用する必要がありますし、TPOによりけりでしょうが、たとえ華やかな花柄のスカーフや赤いコートを着用していたとしても、街角でそれを咎められることはないでしょう。 ********** さて、話は変わり、先日トルコ航空でイスタンブールからテヘラン入りしたときのこと。 外国人であれ、飛行機を降りるときから女性たちはヘジャーブを着用しなければなりません。 テヘランに到着と同時に私の座席の周辺に座っていたスペイン人のツアー客たちがそわそわし始め、女性同士で顔を見合わせてスカーフで頭を覆い、同行の男性たちに見せたりして微笑んでいます。彼らが話している言葉は分かりませんが、 「これで大丈夫かしら?」 とか 「髪はスカーフの外に出ないように隠さないとダメだわよ!」 ・・・などと言っている様子。 すると、その中のひとりが私に向かって、 「貴女、そのヘジャーブ、髪の毛が外に出ていて問題なんじゃない? ちゃんと直した方がいいんじゃないの?」 と、親切にもアドバイスをしてくれました。私が初めてイランにやってきたのだと思ったに違いありません。 私はといえば・・・ストールを適当に頭から首にかけて巻いているだけの状態。髪の毛が出ているかどうかなんて全く気にもかけていませんでした。 イラン人に注意されるならまだしも、まさか外国人にそんなことを言われるとは思ってもいなかったので、思わず絶句・・・ すると、隣に座っていた若いイラン人の男の子が私の代わりに、 「彼女はちゃ~んとイランのことが分かっているから大丈夫。そんなにナーバスにならなくても、とにかくスカーフやストールなどで髪を覆ってさえいれば問題はない。髪がスカーフから出ているかどうかなんて関係ないんだから。あなたたちもテヘランで実際に街を歩けば、それがどういうことか分かりますよ・・・」 と、笑いながら助け舟を出してくれました。 私のストールの巻き方が適切だったかどうかは別として、まあイラン人の友人がよく言うように 「たかだか布切れ一枚の問題・・・」 なのかどうなのか??? ところでその旅行者グループの女性たち、スカーフはきちんと巻いていましたが、後姿を見たらびっくり! お尻を出しているではありませんか!? 「お尻を出している」という表現は決して適切ではありませんが、腕やお尻を隠す長丈の上着を着ていないのです。 彼らがイスラームのヘジャーブを、「髪を覆うスカーフ」と解釈していたのかどうかは分かりませんが、 「頭隠して尻隠さずだなぁ・・・」 と思わず苦笑してしまった私でした。 ************ どこの国でも若い女性たちのファッションは時代とともに変化するもの。 スカーフやマグナエを後ろにずらし、髪をできるだけ多く見せようとしていたり・・・ どこまでだったら「不適切」でないのか、「適切」と「不適切」のモラルがギリギリのところで競い合っているかのようです。 昔、学生服を着ていた頃を思い出させるような・・・イランの街角の風景です。 P.S. 日本ではイラン旅行の際に、 「身体をすっぽり覆うコートと、頭にはスカーフを着用してください。コートもスカーフも色は地味なものが望ましいです」 などと案内しているようですが、 「頭を布で覆い、上着の袖は短くても7分袖くらいの長さ、上着丈はお尻が隠れていればOK」 と、私は勝手に解釈しています。 ヘジャーブ着用義務もありますから酷暑の下のイラン観光は決しておすすめしませんが、晩秋から冬、春先にかけての暑くない時期であれば、スカーフや長丈のコートも決して苦はならないはずです。冬だったらお尻が隠れるコートを上に羽織ればまったく違和感がありませんしね。 何はともあれ、外国人のへジャーブは現地人に不快感を与えるほど「不適切」でなければそれでよし・・・と思う今日この頃です。
by yksilkroad
| 2009-05-29 18:27
| イラン
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